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角田光代『ツリーハウス』はすごくよかった。

わりと好きな著者、ということもあって、読んでみました。

ツリーハウスツリーハウス
(2010/10/15)
角田 光代

商品詳細を見る

内容紹介
謎多き祖父の戸籍──祖母の予期せぬ“帰郷”から隠された過去への旅が始まった。
満州、そして新宿。
熱く胸に迫る翡翠飯店三代記。
内容(「BOOK」データベースより)
謎の多い祖父の戸籍、沈黙が隠した家族の過去。
すべての家庭の床下には、戦争の記憶が埋まっている。
新宿角筈『翡翠飯店』クロニクル。


けっこう分厚いな、とは思いつつ読み始めたのですが、途中、なかなか読み終わらなくて、300ページまで来た時に、まだ見たところ5分の3ぐらいという感じで。
結局、470ページぐらいあったんですね。
上下巻に分けるか微妙なぐらいですね。
でも一冊でよかった。
一気に読んじゃおうと思って、遅読なんですが、頑張って読みました。

まず思うのは、さすがに風格があるな、ということ。
つまり、最近読んだ小説といえば、『KAGEROU』だったり『もしドラ』だったりしましたから、それらに比べると、明らかに「本物」という印象です。
そう言ったら、今挙げた2作品に失礼かもしれないけど、単にジャンルの違いというようなことについて言いたいだけなので悪しからず。
それらの2作品についても、ブログで既に称賛していますし。
とにかく、「さすが」と思える。
一文一文、無駄もなく、かつ、変な気負いや気取りもなく、普通に味わい深い、いい文章。
本当に優れた作家であって、その一文一文を丁寧に読み進めていくに値する小説、ということを深く感じた次第です。

映像化されても、面白いかもしれない。
ただ、たとえ映像化されたものを観たとしても、やっぱり、それによって、この作品のすべてを味わうことはできない。
もちろんそれは当たり前ではありますが、この、読んでいる時間というものが、そして文字を通して感じ取るもろもろが、とても大切なものに思えた、ということです。

分厚かったので、読みたい気持ちと迷う気持ちとでかなり逡巡はあったのですが、読みたい気持ちがまさって購入に至り。
やはり、読んでよかった、本当に、と今感じています。

読み応えがあった。
楽しかった。
すごく、いい作品を読んだ、と思える。

読んでいて、時々、つらくなることがありました。
一人一人の登場人物が、みんな、自分なりに一生懸命に生きているんだけど、なかなかそんなにかっこよくは生きられない。
頑張って生きていたつもりなのに、いつの間にか、そんなはずじゃなかったところに、来てしまっている。
そういうのが、自分自身ともすごく重なるところがあって。
しかし、それはおそらくほとんどの人がある程度はみんなそうなんだと思う。
だから、この小説は優れていると思うのだ。普遍性があるって意味で。

こんなはずじゃなかったと思っても、もう引き返せない。
あの時のあれをなかったことにしたいと思っても、もう、それはなかったことにはできない。
そんなことの積み重ねで、人生は進んでいく。
こんなはずじゃなかったといくら地団駄を踏んでも、だからって人生を放り出すこともできない。
──そんなふうに、不器用に生きている人たちの、無名の、“平凡な”一家の、壮大なる、一大叙事詩なのです。

帯にも、「後悔したって、もし、なんてないんだよ。」とある通り。

そして、主人公が祖母を伴って、旧満州を訪れる中で、祖母も、主人公も、あるいは他の登場人物たちも、それぞれに、自分なりに、答えになる何かを見つけていく。

一言で言うと、生きるのは大変だけど、でも、同時に、そう捨てたもんでもない、ということでしょうか。

冒頭では、「なんかぐちゃぐちゃな、ぐだぐだな家族だな。大丈夫かな」と思えるんだけど、読み終えて、「なるほど、そうだったのか」と納得する思いと、「だけど、だから、大丈夫なんだな」と思える。

それぞれのエピソード、すごく胸に響くけど、やっぱり心に残るのは太二郎かな。
こういう人生になってしまうっていうことも、あるよね。
でも、それでも、すべてが駄目だったわけじゃない。
無意味で無駄で失敗だったわけじゃない。

基三郎は残念だったけど。そういうことも、人生には起きるけど。それでも。

いい小説だった。
ほんと、うまいなあ。
保田の出征とか。
光一郎を残してほしいと懇願した一家とか。
主人公の母親の、たくましさ、聡明さ。
新天地を求めて挫折し、生涯、それに触れずに生きてきた祖父母。
漫画家を目指し、下手に何度か作品が掲載されたためになかなか諦めがつかない、というのも分かる。

ああ、一つ一つを思い返せば思い返すほど、なんて面白い小説だったろう、という思いが湧く。
時をおいて、もう一度読み返したいような作品です。

同じ著者の、こちらも読むのを迷っていた『ひそやかな花園』のほうも、読んでみようかな、と思い始めました。
これまでに読んだのは、『八月の蝉』と『森に眠る魚』。いずれも、とてもよかった。
好きな作家の一人に加えようかな、と思いつつあります。

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角田 光代

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八日目の蝉八日目の蝉
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角田 光代

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森に眠る魚森に眠る魚
(2008/12/10)
角田 光代

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……今、思わず間違って『森を泳ぐ魚』とかいうタイトルで検索してしまったんだけど、ちゃんと出てきました、『森に眠る魚』!
素晴らしいっ!!(笑)
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genre : 本・雑誌

No title

大河ものといってもいいぐらいにダイナミックな話でした。
登場人物がみんな飄々としていていい感じなので読んでいて好感が持てました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
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「ツリーハウス」角田光代

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ご挨拶

※このブログは、2005年12月からhttp://choi-happy.jugem.jp/にて書いてきたものを、2009年4月初旬にこちらへ移植したものです。そのため、以前の記事は行間が広すぎるなど、見苦しい点もありますが、何とぞご了承ください。

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プロフィール

ちょいハピ

Author:ちょいハピ
【2010年12月30日更新】

久々にプロフィールを更新してみます。

ツイッターを始めてから、すっかり「自動まとめ記事」ばかりが中心になってしまいつつあるこのブログ。
それでも、本や映画の感想などをきちんと書きたい時などにはどうしても不可欠の、私にとって大切な場でもあります。

以下、簡単に自己紹介というか自らの特徴を述べてみます。

まず、人生最大の娯楽は「書店で本を眺める」ことと「映画館で映画を観る」こと。
また、連ドラフリークでもあります。

嵐ファン歴は、約6年半。
(つまり、こんなにブレイクする何年も前からファンだったのだ!ということをここで強調したいわけだったりして)

趣味は散歩、そして不審な挙動(汗)。

そのほか、語学も好きで、特に文字が大好き。
文字に対する愛情というか愛着というか偏愛?は、我ながらかなり強い。

とりあえずはこんな感じです。
ぼちぼちお付き合いいただけましたらたいへん幸いです。


【以下、旧バージョン(1)】

2008年12月18日現在、少し古くなっていたこのプロフィールを、久々に書き直してみます。

このブログを始めたのは、40歳になって間もないころでした。
人生80年時代とはいいつつ、40歳を過ぎると、いろいろな病気などで、けっこう突然な感じで亡くなる方も、少なくありません。
ですから、自分も40代に入った時、「これで少し落ち着けるかな」という安堵の気持ちと同時に、「いつ死んでも悔いのないようにしておこう」という覚悟みたいなものも持ちました。
そこで、「いつ死ぬか分からない中、たとえば今、急に死んだとして、何か自分に言い残したことはないだろうか?」と考えた時に、それを自分なりに探りながら書いてみたい、という思いが湧き、そんな動機から、このブログを始めてみたのです。

最初の記事の日付が2005年12月5日ですから、いつの間にか、もう3年も経っています。
相変わらず、大した内容は書けていないし、この3年でそんなに成長したという実感も、あまりないというのが正直なところ。
しかし、これはこれなりに、何らか意味のあるものでありたいし、そのために、何を書いていくべきなのか、日々、模索し続けています。
不惑を越えながらも、いまだ発展途上──。
このブログには、たぶんそんな私の等身大の姿が、浮き彫りにされているのかもしれません(と、ひとまず言い方だけはかっこよくキメてみましたが、その浮き彫りにされた等身大の姿が全然かっこよくないところが悲喜こもごも)。

ブログタイトルは、文字通り、「小さなことの中に喜びを見いだしていこう。与えられていないものに対して不満を抱くことよりも、与えられているものに対して感謝を抱いて生きていこう」といった意味合いが込められています。
実際に、そういった内容になっているかは何とも言いかねますが、少なくとも当初の志としては、書いている自分も、読んでくれた人も、少しだけ、よりハッピーになれたらいいな、という願いが根本にあります。

これからも、引き続きご愛読いただき、「ちょっぴりハッピー」な気持ちになっていただけたら幸いです。


【以下、旧バージョン(2)】
人生80年と言われる時代ですが、私も、一応80歳を目標にしています。
42歳の今、残り半分を切り、これからの後半生を、一日一日、大切に生きたいと願っています。
人生において、いちばん大切なことは何なのか。
その実現のために、今、そしてこれから、何をしなくてはならないのか。
それを模索しながら、少しずつでもいいから前進し続けたいと思います。

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